2026年8月25日 (火)

第175回「海程香川」句会(2026.08.08)

万智のイラスト朝顔.jpg

事前投句参加者の一句

八月を開く朱色の栞紐 小西 瞬夏
雲の峰までころがってゆけ夏ふとん 重松 敬子
傘立てにまだあの昼の捕虫網 和緒 玲子
原爆忌無防備なまで空の青 木村 寛伸
置き配に傾いている大西日 榎本 祐子
知り合いを忘れてしまう金魚かな 高木 水志
向日葵やそのまま歩き出しそうな 河野 志保
かなかなやとわに待つことできそうな 新野 祐子
泣くたびに赤子生ひ立つ夾竹桃 大浦ともこ
ベランダにゐるのは一人遠花火 野口思づゑ
黄金虫ならどうかこの蕊だらけ 桂  凜火
八月やあなたの咆哮聞こえ来る 滝澤 泰斗
距離感って難解舟虫走る 三枝みずほ
もう少しならガンバレル雲の峰 柴田 清子
逃亡の明日は三越花氷 すずき穂波
朝涼し眼を閉じてなお白き花 薫   香
いつさいはなんたいどうぶつまるはだか 亀山祐美子
恐竜の図鑑を閉じて夏終る 藤田 乙女
そのつもりなくて生まれて金魚玉 男波 弘志
ハッケヨイ残った漆の国の酷暑かな 荒井まり子
夏山やソモサンセッパ雲辺寺 各務 麗至
遥かなる兜太先生夏燕 布戸 道江
七輪に炙るスルメや梅雨の月 大西 健司
喪の家の闇を焦がせり緋の鯉は 樽谷 宗寛
魂の満ちて蓮華の白さかな 佳   凛
青芒風の真面目な話聴く 津田 将也
夏蝶の骸美しプリマドンナ 植松 まめ
ふとさがす朝日俳壇酷暑の日 田中アパート
胡瓜曲りおもちゃのよう圏外 十河 宣洋
人間くさくなってくる夏帽子 河西 志帆
朝六時どっと降り来る蝉時雨 出水 義弘
わたくしの夏野調律されぬまま 佐孝 石画
蝉時雨我を静かに治めゆく 岡田 奈々
夏の山火事倫理なき地球 疋田恵美子
羽根付けてみんなアイドル合歓の花 吉田 和恵
白兎ぴょん白波消えてまた湧きて 福井 明子
髪洗ふ今殺られれば是非もなし 川本 一葉
今日を捥ぐ夕陽捥ぐごとトマト赤 三好三香穂
逢へばまた昭和乙女はレスカ飲む 柾木はつ子
静かに並ぶ炎天の給水車 松本美智子
冷奴きれいに食べていい女 銀   次
地震(ない)十年の村よ村びと虎耳草(ゆきのした) 野田 信章
夏の夜水琴窟かな蟋蟀鳴く 漆原 義典
梨一個になれるか梨に問われいる 竹本  仰
八月がある長距離走のごとく 月野ぽぽな
夏草やぐるり空き家の夢の跡 遠藤 和代
紊乱の娑婆霍乱の吐瀉に果つ 時田 幻椏
この炎帝 家、水無き被災者よ! 田中 怜子
人にも断層雨季が来ているのか 山下 一夫
白雨去る片っぽだけの白い靴 綾田  節子
島薄暑公民館の山羊の鳴く 菅原 春み
モナリザを刺繍する娘(こ)の夏季休暇   淡路 放生
炎天を盗り刺し殺し甲子園 藤川 宏樹
バイキングローかき氷溶けました 伊藤  幸
こころの襞そっと触れずに含羞草 増田 暁子
谷底の落武者を呼ぶ烏の子 松本 勇二
写真屋の扉チリリン秋に入る 松岡 早苗
手花火の高さに更けてゆく故郷 矢野二十四
一光年ひろしまながさきの曝書 若森 京子
嘘ばかり釣瓶の水を移す時 中村 セミ
原爆忌小さな意志をぐっと出す 豊原 清明
夏空や小石を蹴って故郷へ 佐藤 詠子
俳句てふ杭一本や赤とんぼ 岡田ミツヒロ
国旗損壊罪手製の日の丸振りし 夏 河田 清峰
哲学のほうへと曲がる青胡瓜 三好つや子
異国語の飛び交う夏の富士高し 末澤  等
精霊の王の影曳く蝸牛 野﨑 憲子

句会の窓

小西 瞬夏

特選句「八月がある長距離走のごとく」。「がある」と散文的なしらべのようであるが、17音の緊張感がある。弱くなりがちな「ごとく」も納得感があり効いている。八月がくるたびに切実となる、いつまでも解決せず続いている問題を「長距離走」と捉えた把握の新鮮さ。

松本 勇二

特選句「髪洗ふ今殺られれば是非もなし」。生活の中でこれほど無防備な瞬間はほかにないでしょう。すぐそばに危険が存在しているという掬い上げが見事です。

十河 宣洋

特選句「雲の峰までころがってゆけ夏ふとん」。こういう楽しさがいい。暑さを忘れそうな気分。特選句「人にも断層雨季が来ているのか」。他の人との思いのずれを感じている。断想の想いが強くなる雨季。鬱陶しさを感じている。

木村 寛伸

特選句「西瓜切る太陽からの臍の緒を(川本一葉)」。西瓜を「太陽からの臍の緒」と見立てた発想が秀逸。西瓜の生命感と宇宙性が一気に開かれ、切断という行為も象徴化されており、比喩が自然に立ち上がる優れた一句。問題句「髪洗ふ今殺られれば是非もなし」。無防備になる洗髪の瞬間に不意に生じる諦念や覚悟のような独特の緊迫感がある。「是非もなし」は、本能寺の変の織田信長を想起させる。

岡田 奈々

特選句「哲学のほうへと曲がる青胡瓜」。高校生の時、友と寄っては、ニーチェがどうの、ショーペンハウエルが、こうのと、口角泡を飛ばし、哲学を語っていたあの頃が懐かしい。青二才ならぬ、正しくひん曲がった青胡瓜。特選句「冷や奴きれいに食べていい女」。打って変わって、楚々としたよい女。冷や奴がきれいに食べられればハハーもう文句はありません。貴女に完敗です。「八月を開く朱色の栞紐」。これもよい女の条件かも知れない。「雲の峰までころがってゆけ夏ふとん」。クーラーが無くても涼しさ満喫。心地良さ最高。「傘立てにまだあの昼の捕虫網」。あの日に何があったのか、使われないあの子の虫取り網。捨てられなくて。「そのつもりなくて生まれて金魚玉」。思いがけない偶然の産物。「青芒風の真面目な話聴く」。芒はまるで風の話しに耳傾けているよう。「人間くさくなってくる夏帽子」。毎日被っていると汗で吾が一部に。「今日を捥ぐ夕陽捥ぐごとトマト赤」。毎日沢山成るトマト。太陽の息吹を頂いて。「ツルリ剥けガブリとできる当たり桃」。美味しい桃の条件です。桃は旨い。

末澤  等

特選句「こころの襞そっと触れずに含羞草」。誰しも自分の心の襞には触れて欲しくない時があります。含羞草は御辞儀草とも書き、指で触れると葉を閉じて下を向く、敏感で恥じらっているように見えることから名付けられています。これらが上手く組み合わされ味わい深く感じました。 ♡七月二十四日、二十五日で富士山零合目登山(登り3000m、下り1500m)を無事コンプリートしました。山頂でのご来光と山頂での写真を添付させて頂きます。

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末澤さん雲海.jpg

各務 麗至

特選句「俳句てふ杭一本や赤とんぼ」。俳諧自由。杭一本や、に、その俳句への向かい方や個性や決意やその強さ、大きささえ思い知らされます。赤とんぼ、ならの、赤の強さや、とんぼとの、個人的でしかありませんが自由自在さも見えてきます。特選句「国旗損壊罪手製の日の丸振りし 夏」。特選句か、問題句か、戦前にでも戻ったような、重み深みを思ってしまった。破れる事もあるだろうそれが何でもない風景でもあったのに、罪かも知れないがやっていいことと悪いことと、一つ一つ規定しなければならない時代になって、挙句の果ての法律化?それこそ貧困な想像力とか善悪についてあまりにも無頓着な現代人への警告ともとれて。

自句自解「マンモスは氷河真逆の酷暑かな」。マンモスは氷河期に絶滅、酷暑灼熱で地球のあちこちが大火事になったり大雨で大洪水に見舞われたり、人間社会に大打撃をもたらし・・・、それこそ、大国ぶっての独善戦争は終わる風もなく人間はもういらないとリセットボタンでも押さたのかなぁ、などと昔―今ひとつ核の脅威も加えて「現代俳句」に『秋懐』というエッセーを書いたのを思い出します。異常気象の始まりと騒がれ始めた頃でした。令和では昭和の常識は非常識らしいけど、人を騙したり殺したり、令和の常識は極論すれば「人でなし」のジコチュウでないと生きていけないのかも。そんなこんなでマンモスの句ができたようです。それにしても、この夏どこまで暑くなるのか、とにかく涼しくなるまで気をつけたいと思っています。いつもありがとうございます。この暑さどうかご自愛のほどを。

津田 将也

特選句「モナリザを刺繍する娘(こ)の夏季休暇」。ダ・ビンチの名画「モナリザ」の神秘的な微笑を、一針ずつ、刺繍する娘さん。その根気のいる手仕事が、外の喧騒から離れた「夏季休暇」という静謐な時間の中で行われている情景が鮮やかだ。瑞々しい娘さんの感性と、名画の大人びた陰影との対比が鮮烈。単なる夏休みではなく「夏季休暇」という硬質な言葉を選んでいることで、どこかストイックで知的な娘さんの心理や、夏の午後の張りつめた室内の空気感まで美的に描き出している。 

綾田 節子

特選句「象の群れどっと押してくる土用波(山下一夫)」。都会に住んで暫く、土用波を見る機会もありませんが 土用波に象の群れの例え、「よくぞ」です。色も象色してますよね。

樽谷 宗寛

特選句「ハッケヨイ残った漆の国の酷暑かな」。ハッケヨイ残ったの掛け声の勢い、漆のねっとり感の酷暑、国技の格調たかい伝統が感じられた。

矢野二十四

「距離感って難解舟虫走る」。人間関係と船虫の映像の面白さ。「恐竜の図鑑を閉じて夏終る」。夏の果の一イメージに違いない。「始末書の三文判や大西日(松岡早苗)」。あほらしくてやってられない感あり。「人間くさくなってくる夏帽子」。夏帽子も年を取るとずる賢くなる。「ジャズ流るる越前そば屋敗戦忌(岡田ミツヒロ)」。思いがけない邂逅なのだろう。「静かに並ぶ炎天の給水車」。静かな景が身につまされる。「母と子の夏ページには青ピーマン(重松敬子)」。 手塩にかけた感あり。「氷水見惚れるほどの喉仏」。目の付け所がよい。「バイキングローかき氷溶けました」。熱狂の競演。タイムリーな句。

福井 明子

特選句「氷水見惚れるほどの喉仏(亀山祐美子)」。「ああ、喉がかわいた」氷水の入った透明なガラスのコップをかしげ、ごくりと飲み干す。その時の男の喉仏が眼前に浮んでくるような一句。生きていることの充実、涼を得た満足の瞬間が感じられます。

男波 弘志

「置き配に傾いている大西日」。 置き配を選ぶひとにはさまざまな事情があろう。おひとり様、妻に先立たれたひと、深夜に仕事をしているひと、そんな背景が西日を背にしてまざまざと浮かんでいる。それからこの省略されたことば「置き配」を使ったことも手柄であろう。現代の習俗をも表現している。省略が煮詰まると凝縮に変容する。これも俳句表現のひとつの才華であろう。秀作。

若森 京子

特選句「泣くたびに赤子生い立つ夾竹桃」。赤い顔をして泣き、泣く度に育っていく赤子と、夏の暑い中赤く咲いている夾竹桃との取り合わせが見事にマッチしている。特選句「八月がある長距離走のごとく」。又あの八月がやって来た。もう八十一年も経つのに毎年毎年同じ感慨の原爆。敗戦、の記憶の八月。世界の現状は益々悪くなるばかり、長距離走の絶え絶えの息が聞こえてくる様だ。

河西 志帆

特選句「静かに並ぶ炎天の給水車」。水が出ない怖さをまだ経験した事がありません。水分補給忘れずに、の報道に、無理な事言ってると独り言をいってしまいます。静かに、この一言に頷きます。「将来は語らず帰省の友とゐる(銀次)」。私もそうです。昔話にばかりなるんですよ。「置き配に傾いている大西日」。物騒だと思うけど、これが通る日本は平和です。「逃亡の明日は三越花氷」。攝津幸彦のパロディですね。逃亡がいいなあ。「八月がある長距離走のごとく」。この厳しさにはついていけません。まして、八月!「蛍かな生温かく生きており(河野志保)」。私もそうですよ〜ゆるゆるでいいんです。

三好つや子

特選句「黄金虫ならどうかこの蕊だらけ」。花粉だらけのまま恍惚状態のミツバチを、あんぐりと見ているブンブン。夏の太陽の下、虫たちのおちゃらけな生態が目に浮かび、感銘。余談ですが、おちゃらけな人を高松では「ほっこ」って言うよ、と高松生まれの夫が申してました。特選句「にんげんくさくなってくる夏帽子」。働き方、生き方、帽子のかたちはその人の今を、的確に語るものかもしれません。帽子の汗が紡ぐ夏の物語・・・素敵です。「蟻という静かで賑やかな歩み(月野ぽぽな)」。蟻の営みを通して見えてくる、普通の人の普通の暮らし。とりわけ「歩み」の着地がいいですね。「螢かな生温かく生きており」。蛍の脈拍が聞こえてきそうな句。リアリティのある詩情に刺さりました。

藤川 宏樹

特選句「距離感って難解舟虫走る」。人と人、人と物。球技ではボールとの距離感。さらには近づいた途端一斉に走り出す、ゴキブリのような舟虫の群れ。確かに距離感って難しい。「船虫走る」への着目が秀逸です。

松本美智子

特選句「今日を捥ぐ夕陽捥ぐトマト赤」。枝からトマトを捥いで収穫するときの繊細な感覚と西に沈んでいく夕陽をつかみ取るかのような雄大なスケールな情景が美しく重なる瑞々しい句だと思いました。今日という,かけがえのない大切な1日の終わり。夏の強烈な赤とトマトの赤と重なり合わせて充実感が満ち溢れた句になっていると思います。

大西 健司

特選句「傘立てにまだあの昼の捕虫網」。一編のドラマのような広がりがこの十七文字から生まれる。入道雲や蝉の声、そして子供らの声。捨てずにまだ傘立てにある捕虫網が愛おしい。問題句「哲学のほうへと曲がる青胡瓜」。面白い句だ。右よりとか左よりとか思想的な事だろうか。ただ作者が胡瓜を見てそう感じただけだろうが嫌いじゃない。

佐藤 詠子

特選句「人間くさくなってくる夏帽子」。季節の動きを夏帽子を通して詠みこんでいる。梅雨時に買った帽子だろうか。きっと夏の日差しを想像しながら、たくさんの帽子を試着してから決めた形のいい帽子。日々、酷暑を共にしながら、汗や匂いが沁みてきた。形も自分に馴染んできた。もう自分の体の一部とも言える。人間くさくなってくるという表現に私の心が掴まれた。また、作者は俳句らしい五七五で「夏帽子人間くさくなってくる」と最初は考えたのかもしれない。しかし、それよりもやはり「人間くさくなってくる夏帽子」の方が夏帽子の現在進行形的な変化を感じる。匂いまでしてくるようで素晴らしい。人の生活に染まってゆく帽子への愛情も伝わる。特選句「鳥になる飛び魚になる試着室(三好つや子)」。すごく共感できた句。試着室という狭くて閉鎖的な空間で、ときめきながら選んだ服を着て体を動かしてみる。飛べそうに似合う服が見つかったのだろう。問題句「恐竜の図鑑を閉じて夏終わる」。夏休み最後、子供の静かな様子が見えて愛らしく惹かれた。ただ「閉じる」と「終わる」が重なりすぎている気がした。逆に、恐竜図鑑が開いたまんまで夏が終わるという景のパターンもありかなと思った。

中村 セミ

特選句「蝉時雨我を静かに治めゆく」。車をバックで壁にぶつけ、カーブの時に、距離をあやまり左側の車体に凹みがはいり、やっと家についた。ミーンミーンという蝉時雨が、私をもつといらだたせたが、いつの間にかミーンミーンと繰り返される中で、玄関先で眠ってしまった。

植松 まめ

特選句「八月を開く朱色の栞紐」。開いたのは日記か本か八月は日本人にとっては重く悲しい八月である。その栞紐が朱色とは 血の色である。特選句「逢へばまた昭和乙女はレスカ飲む」。レスカとはレモンスカッシュのこと若いころがなつかしい。私の最近の短歌「ストローを2本突き立て1杯のレモンスカッシュ君と飲んだね」昭和がなつかしい。

河野 志保

特選句「遥かなる兜太先生夏燕」。私の中で先生はずっと梟のイメージだった。しかしこの句に会い夏燕も加わった。夏空の下、かすめ飛ぶ燕のように俳句の世界を自在に駆けた先生。作者の先生への思いが「遥かなる」で適確に表現されている。

増田 暁子

特選句「距離感って難解舟虫走る」。二人の、グループの、家族の距離感、いろいろあるが本当に難解です。特選句「梨一個になれるか梨に問われいる」。こんなに上手い、完成した梨に人間はなれるのか問われると、本当に脱帽です。「鳥になる飛び魚になる試着室」。試着室の女性はみんな鳥や飛び魚になるものですよね。「今日を捥ぐ夕陽捥ぐごとトマト赤」。1日の終わりの感慨ですね。中7の措辞が上手いです。「西瓜切る太陽からの臍の緒を」。太陽からの贈り物ですね。紅い、甘いあの大きな果実は。臍の緒が上手いです。

高木 水志

特選句「白日傘閉じてこの世に沿う身体(三枝みずほ」。家に帰ってきて、ゆっくりとしている身体を「この世に沿う」と表現したところが面白いと思います。白日傘の優しく守っている様子が感じられます。

桂  凜火

特選句「わたくしの夏野調律されぬまま」。わたくしのと限定したことで、リアルになったと思う。気持ちも身体もまだまだついていけない感じがよく伝わり、調律ということばの斡旋が良かったと思います。

松岡 早苗

特選句「地震十年の村よ村びと虎耳草」。熊本の大地震、心よりお見舞い申し上げます。炎天の下、断水、停電、家の片付け等、どれほど大変かと存じます。十年の間に二度の大地震。心も折れそうでしょう。しかし、なにクソと負けずに踏ん張っている皆さんのお姿もこの御句からは浮かんできます。季語「虎耳草」の斡旋がすばらしく、辛苦に耐え必ず復興する、その底力を信じる力強いエールが込められています。特選句「哲学のほうへと曲がる青胡瓜」。高尚な「哲学」と、身近な「胡瓜」の距離感が絶妙でした。若い頃は、理屈っぽく物事を突き詰めようとしたり、「哲学」というものに興味を持ったりもしました。曲がった胡瓜は売り物にはなりませんが、ありがたく頂いています。

佐孝 石画

特選句「手花火の高さに更けてゆく故郷」。一読後、「手花火の高さ」の解釈に戸惑う。そして実際、深追いせずに通り過ぎてしまった。しかし、後ろ髪引かれる感じでこの句にまた戻って来てしまう。 この句の難解さは他にも要因がある。まず、「手花火」が実景なのかどうか。ただ、たとえ記憶の風景だとしても、「故郷」との相乗効果でしゃがんで花火を持つ家族の手、闇の中で照らされた家族の顔が浮かんでくる。そして現在地点は「故郷」なのか、別の場所なのかという点。手花火が実景で遠い故郷に思いを馳せるという読みもあるし、実際に帰省しているという読みもできる。句の描く風景を、逡巡しつつ想像することが出来るのは名句の条件だと思う。「手花火」に照らされた家族のイメージを経て、最終的には「更けていく故郷」の、山際に夕陽の火照りを残しながら暮れていく、遠い山並こそ「手花火の高さ」なのではないかと思えてくる。

荒井まり子

特選句「紊乱の娑婆霍乱の吐瀉に果つ(びんらんのしゃばかくらんのとしゃにはつ)」。 厳しいですねぇ、未来に希望は明るくあって欲しいです。

山下 一夫

特選句「八月を開く朱色の栞紐」。ハードカバー書籍の栞紐はくすんだ色が多いですが、「朱色」なんですね。朱夏に因むのでしょうか。栞紐が挟んであるのが「八月」でそこを「開く」ということは、過去の八月を振り返るところから始めるという含意がありそう。個人的な去年の八月とか、誰もが忘れてはならない八月とか。後者であれば、「朱色」はまた違った趣があります。特選句「白日傘閉じてこの世に沿う身体」。では開いているときは何だったのかと考えさせられます。主体はすでに「この世」にあるので極めて現実的な情景なのですが、思考のベクトルはどうしてもその前に向かいます。通常は開いた状態を思い浮かべる「白日傘」に「閉じる」という逆の動きを持ち込んでいるからでしょうね。「白」の象徴性もより増幅されているようです。白昼に口を開けている怪しい世界の表現として秀逸です。問題句「いつさいはなんたいどうぶつまるはだか」。「いつさい」が曲者。素直には「一歳」で無一物な子どもの在り様でほのぼのしますが、「なんたいどうぶつ」とのセットからどうしても「一切」というように見え、例えばサルトル作「嘔吐」で描かれるような存在のグロテスクさを思わないわけにはいきません。 

榎本 祐子

特選句「八月を開く朱色の栞紐」。八月という特別な月。そんな月を迎えるための朱の栞紐がとても象徴的。

淡路 放生

特選句「人間くさくなってくる夏帽子」。身につけるものは、使っているうちにその人のクセと言うものがついている。帽子などは被っているうちに頭の形に合ってくるので、間違って人の物を被ると反応する。ことに夏帽子のように手軽に使うものはそうであろう。作品はそのクセを「人間くさくなってくる」と詠んでいるのだが、上手なもので他のことは何も言っていない。作者の俳句作りの年輪をさりげなく感じさせて巧いものである。

疋田恵美子

特選句「夏山やソモサンセッパ雲辺寺」。お四国八十八所の六十六番札所ですよね、ロープウェイもあるという行ってみたい所です。特選句「地震(ない)十年の村よ村びと虎耳草(ゆきのした)」。十年前の地震といい、この度の猛暑に水道・電気が通じないという、お気の毒で言葉もありません。幸い「海原」会員の皆さんは多少の被害はあれど、大丈夫のようで安心致しました。→ ほんとうにご無事で安堵しました。猛暑の中、どうか健康第一でご自愛ください。

伊藤  幸

特選句「今日を捥ぐ夕陽捥ぐごとトマト赤」。夕日捥ぐのフレーズに感動。目の前で壮大な景が動画のように繰り広げられる。特選句「母と子の夏ページには青ピーマン」。夏休みの宿題絵日記に一ページが想像できる。母と子の微笑ましい会話が聞こえてくるようだ。

岡田ミツヒロ

特選句「人間くさくなってくる夏帽子」。夏帽子の気さくで親しみのもてる生活感、そして、ついには、被っている人の身体の一部分となってしまう感覚、まさに「人間くさく」の表現が揺るがない。特選句「冷奴きれいに食べていい女」。冷奴をきれいに食べるのは難しい。欠片が小鉢に散らばる。それを見事に掬い取る女性には思はず瞠目する。印象的で内面の何かをさえ想像させて魅力的でもある。冷奴の「冷」がよく効いている。

柾木はつ子

特選句「熱帯夜続く避難所のおむつ替え(松本美智子)」。病人もいれば、赤ちゃんもいる避難所の生活。平常時でさえも冷房なしでは暮らせない今夏。はるかに想像を超える状況だと思いますが、只々頑張って下さいとお祈りするしかありません。特選句「炎天や白骨街道の黙(荒井まり子)」。私の父はビルマから生還して参りました。まだ小学低学年の私に 戦場の話をよくしてくれました。その時はまるで物語でも聞いているような 気持でしたが、今思えばよくぞ生きて帰れたものだと思います。父の話の内容は今でも鮮明に覚えています。「白骨街道」を父も命懸けで逃れてきたのかもしれません。

三枝みずほ

特選句「一光年ひろしまながさきの曝書」。曝書によって紙が蠢き出し、時空を超えて一光年先まで二つの都市の記憶、そこで暮らした人々の思いが放たれる。風化させてはいけない。

田中 怜子

特選句「ベランダにゐるのは一人遠花火」。まるで私のことを詠っているようで、くすくすしてしまいました。私の部屋から花火が見えます。一寸ベランダにでると、斜め前のマンションの各階のベランダに家族や友達と花火を楽しんでいる姿が見えます。なにか楽しそうに話しているような。私は一人で、一寸ワインを飲んだり。遠花火が一人を際立てますよね。そのような記憶が蘇りました。これから花火の季節がやってきます。特選句「島薄暑公民館の山羊の鳴く」。昨今、山羊さんに草刈をしてもらうのが流行っています。AIの世界とは真逆の人と動物の関係性の世界。時間が長い、急かせない世界があるんですよね。人間が育つには時間がかかるし、必要です。私たちは、そのことをわすれてはいけませんよね。素早い、効率だけの世界は、いろんな試行錯誤をさせてくれません。印象に残った句は、「向日葵やそのまま歩きだしそうな」。太陽の照り付けに何時間も耐え続けすくっと佇立している向日葵。すごい、生命力がある。そう、ウクライナを象徴する花畑、負けじ魂を感じます。

漆原 義典

特選句「朝六時どっと降り来る蝉時雨」。夏の朝の情景がよく出ています。我が家の庭の蝉も目覚まし時計のごとく大合唱です。

菅原 春み

特選句「象の群れどっと押してくる土用波(山下一夫)」。エネルギーを感じさせるダイナミックな句。特選句「ジヤズ流るる越前そば屋敗戦忌(岡田ミツヒロ)」。敗戦忌の季語に対して少し複雑な気持ちになる句。

和緒 玲子

特選句「八月を開く朱色の栞紐」。何度も読み返したくなる句。八月という大きな季語。そこに挟まれている「朱」色の栞紐。明るい朱夏を想像しても良いし、戦禍の八月を想っても良い。栞紐は俳句では度々使われる言葉かも知れないが、この句には朱色の栞紐の尻尾を引くと八月の頁だっという日々の生活の延長線上にある八月が窺える。特選句「置き配に傾いている大西日」。改めて「置き配」を調べてみると、2018年頃から始まり、コロナ禍で定着したとある。掲句は明快で玄関先の置き配に西日が差してある景。傾いているのは置き配の荷であり、日暮れに差し掛かりつつある西日である。(勿論利点もあるが)置き配を敢えて選んだ人間の心理にまで傾きを感じるのは「大西日」を深読みしすぎだろうか。

銀   次

今月の誤読●「夏蝶の骸美しプリマドンナ」。夏の終わりだった。劇場の裏口で、わたしは蝶の骸を拾った。青い羽が夕日のなかで美しく光っていた。美しかった。死んでいるのに美しかった。その夜、プリマドンナの最後の公演があった。わたしは袖から彼女を見ていた。彼女はもう若くなかった。だが舞台に立つと誰よりも美しかった。観客は息をひそめた。音楽がはじまる。透き通ったソプラノが客席を圧倒した。純白のドレスが月のように揺れた。ふとわたしは手のなかの蝶を思った。あの蝶もこんなふうに宙を舞っていたのだろうか。音楽が激しくなり、プリマは最後のアリアを歌い終えた。そしてカーテンコール。彼女は両手を広げ、静かに何度も頭を下げた。拍手の音はいつまでもいつまでも鳴り止まなかった。そのあとわたしは彼女の楽屋を訪ねた。疲れ切ったプリマは鏡の前でうつぶせになっていた。直感的にわたしは彼女が死んでいるのを見て取った。はなむけにと蝶の骸を彼女の枕元に置き、素早く楽屋を出た。もちろんその夜、劇場は大騒ぎとなった。わたしはその騒ぎを確かめるでなく夜の町に出た。と、街灯に一羽の青い蝶が戯れてるのを見た。わたしはその姿に見とれた。プリマドンナは決して死なない。ただより美しいものに生まれかわるだけだ。

野口思づゑ

今月は素晴らしい句が多すぎ、絞りきれず、特選句はありません。「将来は語らず帰省の友とゐて」。もう先が見えているので、といより現在を充実させて過ごしておられる友達同士、と解釈します。「原爆忌無防備なまで空の青」。あの時の犠牲者の方々は無防備であったに違いないとしみじみと思う機会をいただきました。「八月やあなたの咆哮聞こえ来る」。戦禍の犠牲者の思いや声が聞こえてくるようです。「梨一個になれるか梨に問われいる」。真面目に考えると緊張しそうな句です。「扇持つ飛鳥美人や酷暑の日」。飛鳥美人壁画の美人達は暑そうには見えないものの、酷暑にぐったりとしている身には、あの扇がまず目についたのでしょうか。どこかユーモアがあります。「哲学のほうへと曲がる青胡瓜」。そう思うと食べたくなる。

亀山祐美子

特選句『向日葵やそのまま歩き出しそうな』。一見明るく微笑ましい情景が浮かぶ。向日葵は一本か畑一面か。『歩き出しそうな』のは見学者か、幼児か、向日葵一本一本か。向日葵は軍隊になぞらえられているのか。人類の行末か。明るさと危うい暗喩が込められている複雑な佳句。考えさせられました。

川本 一葉

特選句「人間くさくなってくる夏帽子」。ずっと被っていたら自分の相棒みたいになって、草臥加減も自分と同じに見えてくる。物はものにあらず、魂を宿す、そんな作者の優しい感性が好きです。

月野ぽぽな

特選句「夏空や小石を蹴って故郷へ」。夏は帰省のシーズンですね。とても懐かしく、童心にもどる感覚を思い出します。心情を何も語らなくとも、読む人に自分の心を重ねさせてくれる句の持つ素直さが魅力です。

竹本  仰

特選句「原爆忌無防備なまで空の青」:生まれて初めてデモに参加した時唄ったのは「がんばろう」だった。〽がんばろう つきあげる空に…と拳をあげた空には解放区があり、自由への思いがあった。だが、今の空といえば、ミサイルやドローンというキルゾーンを連想してしまう。無防備ではいられなくなった空。イデオロギーや権威、愛国思想がいかに強かろうと、事実は人間を殺すためだけにあくせくしているではないか。人類の知恵のやらかすことがこの程度だったか。無防備に日々生きている人たちになぜ敬意を抱けないのだろうか。と、ふと、日常の想いに迫るものを感じた。特選句「原爆忌小さな意思をぐっと出す」:原爆忌の日に感じることは、自分に一体何が出来るだろうかということだ。だが、人類も一つ一つの個で出来ている限り、その細胞の一つとして声をあげるのは自然なことなんだ、と思えてしまった。特選句「哲学のほうへと曲がる青胡瓜」:とても強く好感を覚えた句。子規全集のどこかで、余は哲学と詩の合一をめざすなどとあったのを思い出した。哲学を一個の詩と感じることがある。その場合の哲学とは、生への探求心といえばいいだろうか。どうしてそちらへ曲がるのか、ということへの好奇心といってよいか。以前、人の土地を借りて、ミニトマトやオクラや獅子唐を作っているご老人に畑で冷たいお手製のお茶を差し上げた所、ああ、水をもらったキュウリのようだ、老人もね熟睡していると身長が伸びるんですよ、とほほ笑んだのを忘れない。そこに老いを生きる哲学を感じたのであるが、そういうニュアンスをここでも共感できたことに感謝したい。

重松 敬子

特選句「八月がある長距離走のごとく」。八月は誰にとっても重たい月。次々と明るみにでる新事実。戦争は長く続く。この愚行を二度と繰り返してはならない。

藤田 乙女

特選句「逢へばまた昭和乙女はレスカ飲む」。若き日の様々な思い出が蘇り懐かしくなるような句でした。ちなみに私はレスカではなくミルクティーですが…。

布戸 道江

特選句「雲の峰までころがってゆけ夏布団」。この夏の暑さ、布団と雲のふわふわ感、取り合わせおもしろい。特選句「わたくしの夏調律されぬまま」。我が家のピアノ、調律してない、それでも弾けばわたくしの世界。問題句「ふとさがす朝日俳壇酷暑の日」。座布団一枚、脳トレとスマホに慣れる為。

野田 信章

特選句「土砂降りのジャングルジムのモノローグ(佐孝石画)」。世代を越えて惹きつけられるものがある。「ジャングルジム」も人気のない暮れ方や夜、明け方などには別の貌を呈することがある。それが「土砂降り」ともなれば昼夜を問わず、景も一変して「ジャングルジム」そのものの本性が呼び起こされたと感受されても可笑しくない。この句の「モノローグ」の修辞こそ、それであろう。直に耳を傾けたいものの一つである。

新野 祐子

特選句「地震(ない)十年の村よ村びと虎耳草(ゆきのした)」。七月二十八日の熊本の巨大地震に遭われた方々に心よりお見舞い申し上げます。こんな酷な天災の時、どんな俳句が作れるでしょうか。作者の心根に敬意しかありません。特選句「この炎帝 家、水無き被災者よ!」。俳句としてどうかという問題じゃなく渾身の叫びですよね。一日も早い復旧を祈るばかりです。

河田 清峰

特選句「夏の山火事倫理なき地球」。五大災危の地球に倫理が無くなると殺し合いがはじまる。

三好三香穂

特選句「原爆忌無防備なまで空の青」。あれから81年、青い空から、落とされた物。今も街と命の破壊活動は絶える事はない。戦争は、百年、二百年の怨恨を生む。青い空は清々しいものであって欲しい。

吉田 和恵

特選句「いつさいはなんたいどうぶつまるはだか」。平和の原点とも思う。

出水 義弘

特選句「提灯灯りて曲目ポップス盆踊り(田中怜子)」。「歌は世につれ、世は歌につれ」の言葉が浮かびました。盆踊りの曲目の変化への驚きとともに、時々の流行を取り込み将来につなげていく、土着文化のたくましさを伝えているように思います。特選句「夏草やぐるり空き家の夢の跡」。これも、芭蕉の「夏草や兵どもが夢の跡」が浮かびました。少子高齢社会、限界集落。人口減少社会での中央、地方を問わない一極集中。いろいろな現代社会の抱える問題を思いました。戦後高度成長期に育った小生には、いつまでも発展する明るい未来があると自然に信じていました。しかし、現状は、小生の住む集落も空き家と更地が増加の一途です。近い将来に、氏神の維持も難しくなると言われています。人の世の栄枯盛衰、万物流転をしみじみと感じさせます。♡私事になりますが、若い頃から、古代のロマンに憧れて、飛鳥の地を度々訪ねました。ウオーキングやサイクリングで、遺跡を巡り、歴史上の人物に思いを馳せました。この度、「飛鳥・藤原の宮都」が世界遺産に登録されたことに感激しています。

滝澤 泰斗

特選句「喪の家の闇を焦がせり緋の鯉は」。「灯を点けて淋しい金魚喜ばす(津田将也)」。  人生えお共にあるペットと言うか、友と言うか、喜びも悲しみも共にある感じがしっかりと描かれ気に入りました。共鳴句「原爆忌無防備なまで空の青」。あの時も全くの無防備だった人間の命を一瞬のうちに消し、後遺症で苦しめ、まだ核を持とうとしているバカがいる。それが政府の中枢をなしている現実に呆然と立ち尽くす。「始末書の三文判や大西日」。私も始末書を書いたことがあるが、部下の不始末に納得がいかなかった憶えもあって、印鑑もゴム印を使った。季語ロの対照もいい。「ジャズ流るる越前そば屋敗戦忌」。広島、長崎に原爆を落とした大統領トルーマンは日本のサルには三つのSを与えておけばいい。三つのSとは、SCREEN, SPORTS, SEX・・・と、JAZZにはSは付かないが、アメリカナイズのもう一つの文化だった。「炎天を盗り刺し殺し甲子園」。戦後を象徴するスポーツの隆盛に野球があるが、このスポーツ,何故か物騒な言葉のオンパレード・・・「バイキングローかき氷溶けました」。ワールドカップのノルウェーのオールを漕ぐ応援に目を見張った。応援の熱気でかき氷が溶けたとは言い得て妙。

豊原 清明

特選句「炎帝の船に乗り込む羊かな(高木水志)」。「炎帝の船」が何やら怖い。問題句「人にも断層雨季が来ているのか」。泣きやすいということか。口ずさみやすそうな。♡「八月の不調」豊原清明。八月は右膝の人工間接の手術をした。去年の左膝のように簡単に済むと思ったが、今年は熱が出たり、出血したりして、最初の一週間はこれからどうなるのかと、錯乱のように苦しんだ。 二週間目は安息が訪れ、残すはリハビリだけだが、かなり、脚がまだ、痛む。→ たいへんでしたね。お辛い中のご参加ありがとうございました。一日も早いご全快をお祈りしています。

遠藤 和代

特選句「将来は語らず帰省の友とゐて(銀次)」。昔はいっぱい夢を語り合った友だったのかしらん。でももう将来とか未来とか年をとると明日どうなるか分からない。生きてさえいればいい。身にしむ心境です。

佳   凛

特選句「八月や迷彩服の脱げぬまま(木村寛伸)」。7月26日熊本を襲った地震。早速自衛隊が駆け付け支援に当たっている、本当に暑い中、迷彩服を脱ぐ間もなく、頑張っておられる、日本の未来は安泰だと思いました。→ 再びのご参加、嬉しいです。よろしくお願いいたします。

野﨑 憲子

特選句「青芒風の真面目な話聴く」。耳を澄ますと、若い芒と風の話し声が聞こえてくる。「この星はこれからどうなるんだろ。未来から良い風が吹いてこないかな?」「わからない。ただ一日一日いのちがけで生きるだけさ。愛の言葉を紡ぎながら・・・。」

(一部省略、原文通り)

袋回し句会

虫の音や音階言ひあてる楽師
和緒 玲子
首都東京楽器のような夏夜
三枝みずほ
黄昏の影踏みしめて夏神楽
野﨑 憲子
楽焼の茶碗に小さな秋の空
銀   次
流れ星ポイとひとくち写楽ゆく
野﨑 憲子
楽々と邪悪手玉に昼寝覚
藤川 宏樹
どんなときも楽しむ夕べ平泳ぎ
野﨑 憲子
更年期完熟トマトを楽しんで
岡田 奈々
立秋
秒針のがたんと動く立秋
三枝みずほ
立秋の原稿用紙こわくって
三枝みずほ
ちちどぢいははとばあをり立秋
藤川 宏樹
立秋に四十度とかやこの地球
三好三香穂
生きるジタバタ立秋の初恋坂
野﨑 憲子
ティシュまで柔らかくなる立秋来
岡田 奈々
原爆忌
折り鶴のみなおなじかほ原爆忌
和緒 玲子
原爆忌はだしのゲンやカムバック
三好美香穂
だんだらの包帯真白原爆忌
藤川 宏樹
てのひらへ花びらひとつ原爆忌
野﨑 憲子
原爆忌ろうそく一本舟に乗せ
銀   次
青空の奥見ています原爆忌
三枝みずほ
白熱の大谷応援原爆忌
岡田 奈々
小さき肩脇路に入る白日傘
藤川 宏樹
バイキングロー肩紐解けました
藤川 宏樹
曼珠沙華風スイッチの肩を押す
岡田 奈々
肩触れて見知らぬ人と交わす笑み
銀   次
肩車夏帽に海あふれおり
銀   次
コスモス
紅白の星の取り合い秋桜
藤川 宏樹
コスモスの風や紙飛行機落下
和緒 玲子
会いたさを感電しそうコスモス畑
三枝みずほ
コスモスやどちらへ向けば未来風
野﨑 憲子
ささやくごと秋桜畑のうわさかな
三好三香穂
コスモスの仕草なんだろな熱愛
野﨑 憲子

【句会メモ】&【通信欄】

8月句会は令和8年8月8日の開催でした。縁起のよい日取りの中、本年の「海原新人賞」に和緒玲子さんが選ばれたことをお伝えすると、ご参加の方々から大きな拍手が起こりました。しばらくお休みされていた岡田奈々さん、三枝みずほさんも加わり、熱気ある充実した句会となりました。袋回し句会も面白かったです!高松の句会の常連である末澤さんは剣岳登山へ向けてお休みでしたが、富士山零合目から登頂された山頂での写真をお送りくださいましたので、句会の窓で紹介させていただきました。私(野﨑憲子)と同い歳なので、そのエネルギーを見習いたいです。とにかく、健康と安全第一です。

♡大西健司さんから「このたびは第六三回現代俳句全国大会にたくさんのご応募をいただきありがとうございました。実行委員会一同からお礼申し上げます。また大会、懇親会に参加したいけど予定に入れなかったという方は大西までご連絡いただければ大丈夫です。十月末まで受け付けています。ジャズの溢れる全国大会にぜひご参加下さい。」

♡津田将也さんから「9月句会より、しばらく句会への投句を休みます。他意はなく、俳句をやらない日々を暫く過ごしてみたいのです。またお世話になるときには、メールにてお願いいたします。酷暑の毎日、ご自愛されますよう・・・」→ありがとうございました。再びのご参加を楽しみにいたしております。お元気を!

♡桂 凜火さんから「いつもお世話になります。3ヶ月は長いと思い不安がいっぱいでしたが、おかげさまで事故怪我なく無事に帰国しました。円安には泣かされましたが、野菜と肉と乳製品は安いので自炊すれば暮らしやすいところでした。孫連れということもあり、みな親切で温かく接してくださったので安心して暮らせました。結構UKファンになりました。また今月から復帰させていただきますので、よろしくお願いします。」→ イギリスでの長期滞在が楽しく充実した日々で何よりです。お帰りなさい、お待ちしていました。こちらこそ、今後とも、よろしくお願いいたします。

♡山下一夫さんから「この夏スリランカに旅行してきました。本来は凛火さんの後を追う(笑)計画だったのですが諸般の事情から変更したものです。同国は熱帯に位置しますが平地の平均気温は三十度(高地は二十度前半)。平地の湿度は高いものの夕方には風が吹いて過ごしやすくなり昔の日本の夏を思い出しました。物価は日本の三から四分の一。観光地はともかく街はカオスですが、治安は比較的良く人情も穏やかなように感じました。うっすら憶えている昭和三十年代テイスト濃厚で懐かしかったです。エキゾチックで他のアジアの国々と同様、時間費用等のコスパも良いのでお勧めです。」→ スリランカ・・素敵なところですね。

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